三年前の夏、生まれて初めての熱中症を引き起こしてしまった私は、
それ以来夏になると、熱中症に似た症状を引き起こすようになりました。
八月の暑い日でした。
私は家の裏手に回り、長く伸びたツルを切って、ゴミに出すために袋に詰めていました。
午前中で済むと思っていたので、帽子もかぶらず、
冷たい飲み物も準備せずに取り掛かったのですが、
思ったよりツルが伸びていて、昼までかかってしまいました。
ジリジリと暑い日差しが、肌を刺すように照りつけます。
ずっと、上を向いて、伸びて垂れ下がったツルを切って落としていたのですが、
そのうち何となく目の前が暗くなってきたな、と思った時でした。
だんだんと吐き気がして来ました。
それが、どんどん強くなっていきます。
視界の端から黒い、ノイズのようなジリジリしたものが出てきて、私の目の前が、真っ暗になりました。
ツルを切るのを止めて、その場に座って休もうとしましたが、とても休めるものではありませんでした。
自分を励ましながら、何とか立ち上がって玄関まで歩き、
玄関を開けて中に入った途端、玄関で倒れこんでしまいました。
一度やってしまったから、もう、二度とやりたくないと思っていた熱中症に、またなってしまいました。
私って、学習能力がないなあ、などと思いながら、エアコンの入っている部屋まで這っていきました。
部屋のエアコンは、一番暑い時間帯には自動でスイッチが入るように、
タイマーをしてあるのです。
暫く涼しい部屋で寝ていたら、頭が上がるようになりましたので、
キッチンまで壁を伝いながら行って、アイスノンを取り出しました。
以前テレビの健康番組でやっていた、リンパを冷やす方法を思い出しながら、
首筋、脇の下、両足の付け根にアイスノンを当てました。
額にもアイスノンを乗せて、そのまま暫く横になって眠っていました。
目が覚めた時は、だいぶよくなっていて、あれだけポッポポッポと熱を持っていた体が、すっかり冷えていました。
自分でうまく対処出来たのだ、と思ったら、嬉しくなりました。
しかし、今度は熱中症にならないように、自分でうまく予防出来るようにならなければ、と反省しました。
一度熱中症をやってしまうと、弱くなるのでしょうか。
何だかクセになってしまっているような気がします。
作業をする時間を、考えながらやらないといけないなあ、と思いながら、
夕方になるのを待ち、再度裏に回って、切ったツルと、ほっぽりだしたままのハサミを片付けました。