発汗の大きな役割の一つとして、体温調節があります。
皮膚表面から汗が蒸発することで、皮膚温度を下げることができるのです。
ですが、大量の汗をかくと、体内の水分とともに、電解質も失われ、
体温調節ができずに、熱中症を引き起こしやすくなります。
多量の電解質(塩分)が発汗で失われ時に水しか補給しないと、
汗で失った分と同じ量の水が飲めなくなります。
これは水だけを飲むと血液の塩分濃度が低下してしまうので、
これ以上、塩分濃度を下げないようにと、体が水を受けつけなくなるのです。
同時に体は血液の塩分濃度を保つために、
余分な水を尿として排泄してしまうため、さらに脱水が進んでしまいます。
こうした状況がエスカレートすると、「低ナトリウム血症」となって手足が痙攣し、
場合によっては倒れてしまう危険性もあります。
このような状況を防ぐには、真水ではなく、
塩分を含んだ水分やスポーツ飲料、または牛乳を補給することが重要です。
飲料を5℃~10℃程度に冷やしておくと、体の深部の体温を効果的に下げることができます。
牛乳はカルシウムはもちろん、ビタミンB2や脂質、たんぱく質もバランスよく摂れ、
毎日飲むだけでも、夏バテ改善に役立ちます。
ただし、スポーツドリンクは糖分が多いため飲みすぎには注意したいところ。
スポーツドリンクは激しい運動をしたときの水分補給用に造られているため、
通常時に飲むと身体に悪影響を与えかねません。
通常、スポーツドリンクは500ミリリットルで100~150キロカロリーほどあり、
これを消費するには20分ほどのジョギングが必要になります。
また、スポーツ時の選手や高齢者などが、お茶を飲んでいる場面をよく見かけますが、
緑茶に多く含まれるカフェインには利尿作用があり、
熱中症予防のための飲料には向いていません。
ただし、麦茶はカフェインが含まれていないので大丈夫です。
水分補給のポイントは「少量を小まめに!」です。
喉がかわいたからといって一気飲みは止めておきましょう。
また、喉が渇く前に飲むというのも一つのポイントです。
特に、軽い脱水症状を起こしているときは、喉の渇きを感じにくくなるので気をつけましょう。
先ほど、飲料を5℃~10℃程度に冷やしておくと良いと書きましたが、
暑いからといって、飲料に氷を入れて冷やしすぎると、胃腸が冷えすぎてしまいます。
胃腸が冷えると、体調や体質の悪化にもつながりかねません。
体を冷やしたい時は、できるだけ外側から冷やすことが勧められます。
もし、熱疲労の症状があらわれたら、水分・塩分補給と同時に、
首筋やわきの下をアイスパックなどで冷やし、体の熱を外に逃がして休養をとりましょう。